サンタクロースからのプレゼント

 私の家にはサンタクロースは来なかった。私の母は「サンタクロースなんているわけないじゃない」と平然と言う人だったので、私は彼の存在を考えた事もなかった。
 我が家でも去年までは、「24日はクリスマス礼拝の日」であり、息子にサンタクロースの話は一言も話さなかった。しかし今年、幼稚園でいろいろな話を聞いてきた息子は、サンタクロースについて私に聞いてきた。
「サンタクロースって、うちに来るかな。」
「何をする人か、知っている?」
「夜に来て、プレゼントをくれるんだって。」
「そうなんだ。でも、うちは断ってあるから来ないよ。」
「どうやって断ったの?」
「メールで。」
「お空に届くの?」
「携帯端末があれば大丈夫でしょう。」
サンタクロースの存在は否定しないが、彼が来ることはないので、「断った」事にした。
 そして今夜、クリスマスイヴであることをすっかり忘れて、いつものように慌ただしく子供達の世話し、寝かせた。すると突然母が、手にお菓子の入ったブーツを持ってやってきた。「サンタクロースが来ないと、明日幼稚園で話が出た時、かわいそうじゃない」というのが理由だそうだ。それが「いるわけない」と子供に教えていた人のやる事かと驚いた。こうして明日の朝、息子は初めてのクリスマスプレゼントをもらうことになった。